(11)組合加入資格と独占禁止法の関係について

Question

私どもの組合は、一般機械器具製造業者で組織する事業協同組合ですが、最近、当組合の地区内に本社を置く資本金1億5千万円、従業員350人の中堅機械メーカーA社が、当組合に加入の申し込みを行ってきました。
当組合としては、組織強化のためA社を受け入れたいのですが、このように法律上の中小企業者の範囲を超える事業者であっても、組合に加入できるのでしょうか。

Answer

この問題は、(1)事業協同組合の組合員資格と、(2)独禁法との関係、の2つの問題に分けて考える必要があります。
(1)まず、事業協同組合(以下、「組合」という。)の組合員資格は、中小企業等協同組合法
  (以下、「組合法」という。)第8条で「小規模の事業者」であることが定められており、
  いわゆる大企業は組合には加入できないことになっています。
  これは、組合が中小企業者のための組織制度として設けられているからにほかなりません。
  この小規模事業者の基準は、組合法第7条第1項第1号に定められており、製造業の場合は、
  資本金が1億円以下であるか、常時使用する従業員数が300人以下であることがその要件
  となっています。
  したがって、A社の場合はこの基準を超える事業者ということになりますが、ただ、小規模
  事業者であるか否かの判断は、この基準のみによって行われるものではなく、これを超える
  事業者であっても、その事業者の競争力、市場支配力、地域経済の実情等、諸般の実態を検
  討したうえで実質的にみて小規模の事業者と認められる場合は組合員となる資格を有するこ
  とになります。
  そして、この実質的小規模事業者であるか否かの判断は、加入の申し込みがあった際に組合
  自身が行うことになります。
(2)貴組合の判断によってA社が実質的小規模事業者と認定され、組合への加入が認められた
  としますと、次に独占禁止法(以下、「独禁法」という。)との関係がでてきます。
  まず組合は、小規模事業者の基準を超える事業者が組合に加入している場合には、その事実
  が発生した日から30日以内に公正取引委員会に届け出ることが義務づけられています。
  独禁法は第24条によって、事業協同組合等については小規模事業者の団体として、同法を
  適用しないこととしています。
  つまり、組合はその小規模事業者団体性をもって独禁法の適用除外団体とされているところ
  から、小規模事業者の基準を超える事業者が組合に加入しているときは、公正取引委員会は
  その事業者が実質的にみて小規模事業者でないと認めた場合には、独禁法の適用除外が解除
  され、その組合に同法が適用されることになります。
  先に述べた公正取引委員会への届出は、同委員会がこの認定を行うについてその事実を知る
  ために義務づけられているものです。ただし、公正取引委員会のこの認定は、届出がなされ
  た時に行われるのではなく、組合の共同行為に問題が生じたときに行われているようです。
  なお、認定により独禁法の適用を受けても組合は存続します。また、公正取引委員会は、こ
  の認定権の行使のほかに、組合法第107条により、常時使用する従業員数が100人を超
  える事業者が実質的に小規模事業者でないと認めるときは、その者を組合から脱退させるこ
  とができることになっています(排除権)。
  この認定権と排除権の関係については、公正取引委員会は、認定権を行使して組合そのもの
  に独禁法を適用するか、あるいはこの排除権を行使して大企業を排除するか、いずれか一方
  の措置を選択することができるものと解されています。(89-1)

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