(10)組合員の出資口数に係る限度の特例について

Question

私どもの事業協同組合は、現在、事業拡張のための増資を計画していますが、組合員の大半が小規模な事業者であるため負担能力の問題があり、今回は理事長企業をはじめ一部の有力な組合員の割当比率を高目に設定しています。
ところが、この割当て案でいきますと、増資後の理事長企業の出資比率が全体の30%を占めることとなり、25%の法定限度を超えてしまいます。昭和59年の中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)の改正で、組合員の出資口数に係る限度の特例が設けられたと聞きましたが、今回のような場合でもこの特例の適用が受けられるのでしょうか。

Answer

組合法は、組合員の平等を実質的なものとし、組合の民主性を確保するため、1組合員の出資口数を、事業協同組合にあっては、原則として出資総口数の25%以内に制限しています。
これは、少数の者に出資が偏ると、実際の組合運営が多額出資者の意図する方向に傾き、議決権及び選挙権の平等が事実上崩される恐れがあるからです。
ただし、この出資口数の制限については、ご指摘のとおり、昭和59年の組合法の改正により特例が設けられています。
この特例は、組合財産の維持の見地から、特定の場合に限って、組合員は例外として出資総口数の35%まで持つことが認められるというもので、この特例が認められるのは、次の4つの場合に限られています。

1.組合員が自由脱退しようとする場合で、他の組合員がその持分の全部又は一部を譲り受ける場合

2.法人たる組合員同志が新設合併した結果、新たに成立した法人が消滅した組合員の出資口数の全部
 又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受けて、新たに組合員として加入してくる場合

3.法人である組合員が法人である組合員を吸収合併した結果、存続する組合員が消滅した組合員の出
 資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受ける場合

4.合併以外の事由により法定脱退した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を、他の
 組合員がその組合員の脱退後1年以内に引き受ける場合

要するに、出資口数の限度に係る特例の適用は、組合員の脱退や合併といったやむを得ない事情により減少した組合財産を補う場合に限られており、したがって貴組合のような増資のケースには、この特例の適用は認められておりません。
これは、組合財産の維持・充実という観点からは、負担能力のある組合員に応分の出資を引き受けてもらうことが望ましいものの、特例の範囲をあまり広く認めると、組合員の平等性の実質的な維持が難しくなることが懸念されるからにほかなりません。(89-7-1)

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