(35)理事長の使用人の兼職

Question

私どもの組合では、総会から1ヶ月後、事務局長が急死しました。
小さな組合なので後任の適任者も見つからず、理事長が事務局長の職務を兼務して、とりあえず今年度はこの体制で組合の運営を乗り切っていこうと思います。
決して財政上余裕のある組合ではありませんが、事務局長に払うべく予算に計上してあった給与について理事長に支給して差し支えありませんか。

Answer

役員と使用人の兼職については中小企業等協同組合法第37条第1項では理事と監事、監事と使用人の兼職のみ禁じています。
理事については別段の定めがないので兼務は差し支えなく、実際協同組合では、専務理事または常務理事が事務局長を兼務している事例は多いと思われます。
しかし、ご質問のような理事長が兼務することの是非については、理事長は業務執行の権限を有しているわけですから、たとえ末端の業務にしろ理事長としての業務執行に当然包含されると考えるべきで、使用人である事務局長を兼務するということ自体無意味と思われます。
更に判例に「総会の議決により代表理事の報酬限度額を定めた場合には、代表理事が当該組合の事務分掌上は使用人に相当すべき事務に従事したときであっても、特段の事情のない限り、組合が総会で議決した限度額を超えて代表理事に報酬を支払うことは、その支払の名目を問わず、許されない。」(昭和55年最高裁)とありますので、既に総会も終わっていますから故事務局長分の給与の支給もできないと考えます。
なお参考ですが使用人を兼務する役員の使用人として受ける給与について税法上は肩書・代表権のない理事が職制上使用人としての地位を有している場合以外は損金への算入を認めていません(法人税法第35条)。
また総会の場においてもこのような給与分については役員報酬額に含まれない旨明示して決議しておくのがよいでしょう。(88-9-1)

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