(40)信用組合理事の自己契約について

Question

中協法第38条において「理事は理事会の承認を受けた場合に限り組合と契約することができる。この場合には民法第108条(自己契約)の規定を適用しない」とある。
本条の趣旨は理事がその地位を利用し、組合に不利な取引による損害を与えることを防止するためのものであり、信用組合における貯金関係の如く損害を与えるおそれの全くない場合は含まれないと解している。
しかし、貸付については当然理事会の承認が必要であると従来指導してきたが信用組合における理事は自己も事業者として営業を行っている場合が多く、それらの商取引から生ずる手形割引や事業資金の借入利用がある。
この場合、1件ごとに理事会の承認が必要であるとすれば長期借入の場合はともかく、手形割引や短期事業資金の借入について、一々理事会を開催することは実際上なかなか困難であると考える。
法の趣旨からすれば他の組合員と同一条件のもとにする組合よりの借入については、各人別に理事会において貸付限度を定めておいてこの範囲の貸出は理事長に一任し事後最初の理事会に諮ることにしても差し支えないものと考えるが、その解釈についてご教示をお願いする。

Answer

中協法第38条に規定する理事の自己契約の内容としては、理事が組合から貸付を受け又は自分の設備を組合に貸し又は他人の所有物をそのものの代理人として組合に売るように、組合を相手方とする一切の法律行為を指すが、組合と利害の衝突のおそれが全くない定型的な契約は、承認を受けるべき契約の範囲から除外されるものと解する。
したがって、定款に規定された事業を理事が利用しようとする場合もそのことの内容に応じて判断すべきであって、設例の場合のように信用組合の理事が当該組合から資金の貸付を受ける場合等は上述の除外される契約としては解されないが、予め各人別に理事会において承認を受けることは差し支えないものと解する。

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